DX化の重要性が高まる中、システム老朽化が企業の大きな課題となっています。システム老朽化とは、長年複雑なカスタマイズを繰り返した影響などによって、システム自体の刷新が難しくなった状態のことを指します。システム老朽化を解消するためには、現行システムをそのまま使用するリスクについて、上層部へ理解を求めることから始める必要があります。本記事では、システム老朽化から脱却するために必要なことについて解説していきます。
システム老朽化とは
はじめにシステム老朽化の定義と日本国内での現状について解説します。
システム老朽化の定義
システム老朽化とは、システムの保守停止やサポートの打ち切り、長年複雑なカスタマイズを繰り返した影響などによって、システム自体の使用が難しくなる、また刷新することが難しくなった状態のことを指します。
世の中の動き・市場環境の変化は著しいため、業務で使用するシステムも時代に合わせて進化させていく必要があります。システム老朽化が進むと、システムの改修自体が困難になり、不完全なシステムを長年使わざるを得ない状態になります。その結果、システムがさらに複雑化して運用自体が困難になる、また新システムを導入しようにも多大なコストや人員が必要となるため中々踏み切れないといった状況へとつながります。
老朽化したシステムを改善したい企業は7割近くある
多くの企業では、現在利用しているシステムが老朽化していることにすら気づいていないケースがあり、ハードやソフトのベンダーサポートが終了して、システム老朽化の問題が顕在化するケースがほとんどです。
JUASの「デジタル化の取り組みに関する調査」によると、老朽化したシステムを改善したいと考えている企業は7割近くあり、システム老朽化から脱却することによりDX化・デジタル化を推進できると考える企業が多いことが分かります。
システム老朽化による課題
システム老朽化が進むにつれて、新システムの導入や改修作業は難しくなります。ここではシステム老朽化でよく見られる課題について解説します。
システムの設計書や仕様書が残っていないため調査が困難
DX化を推進したいにも関わらず、当時のシステムの設計書や仕様書が残っていないため、調査自体が困難になるケースがよく見られます。そのためシステムの設計や仕様に対しての理解に時間がかかり、運用・保守のコストが増加してしまいます。
またシステムの改修を行わずに老朽化したシステムを使い続けると、システムの動作速度の低下やエラーの発生・最新版のOSやソフトウェアを動かせない事態が起こり、業務効率が低下してしまいます。
古いプログラミング言語が使用されているため対処できる人材がいない
老朽化したシステムは、当時のプログラミング言語が使用されているケースが多いです。
しかし、当時のプログラミング言語を使いこなせる人材の退職や高齢化などがあり、トラブルが発生した際に対処できるエンジニアがいないといった問題も発生しています。
複雑なカスタマイズが施されている
基幹システムは、世間や顧客のニーズに合わせて機能の追加や回収等を行わなければいけません。しかし長期間の運用や繰り返し行った変更作業によって、システムが複雑化してしまい対応が難しいケースというケースもよくあります。
システムが複雑化すると、以下のようなリスクにつながります。
- 機能が枝分かれして複雑になるため、操作が困難になる
- システムに蓄積されているデータの連携が困難になる
- 新しい機能の追加・回収のコストが増加する
- システムの処理速度が遅くなる
そのためシステムの改修を行う際には、システム面と顧客側のニーズの両方を踏まえた上で行う必要があります。
システム老朽化から脱却するために必要なこと
システム老朽化が進むと、企業は様々なリスクを抱えることになります。システム老朽化からいち早く脱却するために必要なことを解説します。
どのようなシステムを構築するかを明確にする
最初にどのようなシステムを構築するのかを明確にしなければなりません。顧客や世間のニーズ、現場でのメンテナンスや保守コストなど多角的に検討した上で、システム構築の目的を明確に決めていきます。
また老朽化したシステムをそのまま使うとどのようなリスクがあるのか、企業の課題の一つとして、社員一人ひとりが理解しておくことも重要です。
システムの構築・導入は各部署だけではなく、社内全体で行うべきミッションだと言えます。策定したビジョンは社内全体に必ず共有していきましょう。
新しいシステムを導入できるように上層部へ働きかける
システムを導入する際に、大きな課題となるのがコストや人員確保です。
新たにシステムを導入するためには、全面的な改修作業をするのか、部分的に追加や改修を行うのかを明確に決める必要があります。どちらにしても多大なコストと人員確保が必須となるため、上層部や経営層に対して、顧客ニーズや企業の将来性、費用対効果などを考慮した説明が求められます。
上層部や経営層の理解を得ることができれば、システム導入のためのコストや人員確保などの課題を解決できる可能性が高くなるでしょう。
新システムに移行するまでの間に第三者保守を利用する
老朽化したシステムの中には、メーカーサポートが終了したものも含まれていることがあります。また新システム移行まで時間がかかり、メーカーサポート期間までに間に合わなくなるといった可能性を考慮して、移行完了までの間に「第三者保守」を利用するのも一つの手です。
新システムに移行するまでの期間も、機器の保守やメンテナンスは必須です。「第三者保守」を利用して、新システムに移行するまでの間にメーカーサポートが終了した機器や移行スケジュールの延伸などによってメーカーのサポート期間が過ぎる可能性がある機器のサポートを検討しましょう。
まとめ
老朽化したシステムをそのまま使い続けていると、システムの動作速度の低下やエラーの発生、最新版のOSやソフトウェアを動かせない事態につながり業務効率の低下やセキュリティレベルの低下につながります。しかし、システム老朽化から脱却を進めていこうとしても、「システムに複雑なカスタマイズが施されて改修が難しい」「システムの設計書や仕様書が残っていなくて調査自体も行えない」などといった課題に直面するでしょう。
システム老朽化から脱却するためには、まずは上層部や経営層の理解を得て、システム導入のためのコストや人員確保などから行っていきましょう。
しかしながら、企業によっては移行コストの問題やシステム移行スケジュールの延期によって老朽化したシステムを延伸せざるを得ない場合もあるかもしれません。SATでは「第三者保守」のサービスを提供しており、新システムに移行するまでの間にメーカーサポートが終了してしまった機器や移行スケジュールの延伸などに影響によってメーカーのサポート期間が過ぎる可能性がある機器に対し保守サポートをご提供することが可能です。新システム移行までの機器サポートに不安がある方は、ぜひSATまでご相談ください。
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