サーバーを長年使用していると、どうしても老朽化し様々な問題が生じてきます。ここでは、サーバーの老朽化に悩む企業のIT担当者向けに、サーバー老朽化によるリスクとその対処法を解説します。また、予算などの都合によりすぐにサーバーのリプレース(交換)ができない場合に有効な「第三者保守」という方法を紹介します。
サーバー老朽化により考えられるリスク
全てのものは時間の経過とともに劣化していきます。これはWebサーバーやメールサーバー、データベースサーバーといったサーバーも例外ではありません。サーバーの老朽化を放置すると、突然故障する可能性など、ビジネス上のさまざまな障害を引き起こすリスクにつながります。
サーバーが老朽化すると、主に次の3つのリスクが生じます。
ハードウェア故障のリスク
まず挙げられるのが、ハードウェア故障のリスクです。
マザーボード、CPU、メモリ、ハードディスク、電源装置といった各パーツは、年数が経てば経つほど摩耗や劣化が進み、それに伴って不具合を発症する確率が高まっていきます。
普段、サーバーを使用していて、動作が不安定になることや、予期しないエラーが起こることが度々あれば要注意です。そのまま使用し続けると、ある日突然全く動作しなくなってしまうことがありますし、一旦動作しなくなると完全な復旧ができなくなることもあります。
サーバーが動作しなくなることで、重要データにアクセスできなくなったり、業務が完全停止してしまったりすれば、企業として大損害を被ることになります。
セキュリティ脆弱化のリスク
2つめに挙げられるのが、セキュリティ脆弱化のリスクです。
サーバーのオペレーティングシステムにもメーカーによるサポート期間があります。古くなったサーバーをそのまま使い続け、OSのサポートが終了してしまうと、セキュリティパッチの更新もなくなるため、脆弱性をついた不正アクセスなどのセキュリティリスクを抱えることになります。
作業効率低下のリスク
3つめに挙げられるのが、作業効率低下のリスクです。
長期間サーバーを使い続けていると、CPUや各パーツの摩耗・劣化が進んでいきます。また、データ量の増加とともにシステム負荷も増加していくため、徐々に処理能力の低下を招き、業務の生産性低下につながるでしょう。
サーバーリプレースする際の判断基準
サーバーの老朽化には、次の3つのリスクがあるとお伝えしました。
- ハードウェア故障のリスク
- セキュリティ脆弱化のリスク
- 作業効率低下のリスク
これらリスクに対処する方法として、一般的には、「サーバーリプレース」という方法がとられます。
リプレースとは、「交換する」「置き換える」「元に戻す」といった意味の言葉で、サーバーリプレースとは、老朽化したサーバーを新しいものと交換して、再び元と同じような利用環境を構築することをいいます。
このサーバーリプレースを行うかどうかの判断基準としては、主に次の2つがあります。
- サーバーを使用している期間で判断する
- サーバーやOSのサポート終了時期で判断する
サーバーを使用している期間で判断する
サーバーは、減価償却資産としての耐用年数が6年と定められており、各サーバーメーカーは、最低6年間は正常に動作するようサーバーを設計・開発しています。
そのため、サーバーリプレースは、5~6年のスパンで行われるケースが多いです。
もちろん、適切なスパンは、サーバーのアクセス数や業務上の重要度、トラブル発生時の影響範囲などによっても変わりますが、5~6年がひとつの目安となります。
サーバーやOSのサポート終了時期で判断する
サーバーやオペレーティングシステムなどのメーカーは、通常、製品の販売終了時期とサポート終了時期を明確に定めています。販売終了時期が先で、サポート終了時期がその数年先に定められているケースが一般的です。
※販売終了時期のことを「EOS(End of Sales)」と、サポート終了時期のことを「EOSL(End of Service Life)」と呼ぶことがあります。
このサポート終了時期を過ぎると、システムアップデートや技術相談、障害解析、修理、部品提供といった各種メーカーサポートを受けられなくなります。メーカーサポートに入っていないと、自社で運用するサーバーで何らかの故障やトラブルなどが起きてしまった場合でも、基本的には自社で対応しなければなりません。自社にノウハウがなく適切な対応ができなければ、顧客満足度の低下、ビジネスチャンスの損失といった事態にもつながっていきます。
こういった事情から、サーバーリプレースは、メーカーサポート終了のタイミングにあわせて行われるケースも多いです。
サポート終了期間=サーバーの寿命とは限らない
前セクションで、「サーバーリプレースをメーカーサポート終了のタイミングで行うケースが多い」とお伝えしました。
しかし、必ずしも"サーバーのサポート終了時期=自社で使用しているサーバーの寿命とは限りません。メーカーサポート終了後でも、サーバーの稼働自体は問題なく行えるケースは往々にしてあります。
ここで知っておきたいのが、「第三者保守」という選択肢です。
第三者保守という選択肢
第三者保守とは、メーカーサポートが終了した機器・システムの保守を、メーカーではない第三者企業が行うことをいいます。
第三者保守はメーカー以外の第三者企業によって行われるサービスであるため、セキュリティパッチの提供など一部対応できない作業もありますが、不具合が発生した場合の被疑箇所の特定、修理、部品提供など障害に対する保守対応を提供することが可能です。
この第三者保守には、主に次の3つのメリットがあります。
メーカー保守が切れた機器を継続利用できる
まず挙げられるメリットが、メーカーサポートが終了したサーバーを継続利用できる点です。
先にお伝えしたように、サーバーリプレースは、メーカーサポートが終了するタイミングで行われるケースが多くあります。しかし、「可能であれば同じサーバーを継続利用したい」という声が少なくありません。それは例えば次のような事情からです。
- IT予算が限られており、少しでも長く機器を稼働させたい。
- リプレースする予定のシステムの移行スケジュールが遅れており、サポート期間終了までに システム移行が完了できない。
- 近い将来にサーバーを停止させることが決まっているためリプレース予算を割きにくい
こうした場合に、第三者保守は有効です。第三者保守を利用すれば、メーカーサポートに準じたレベルのサポートをしてくれるため、メーカーサポートが終了したサーバーであっても継続利用ができます。
サーバーリプレースにかかる費用の削減になる
2つめに挙げられるメリットが、サーバーリプレースにかかる費用を削減できる点です。
サーバーリプレースにかかる費用は決して安いものではありません。小規模なケースであっても、サーバー本体、オペレーティングシステム、ソフトウェア、ネットワーク機器、環境構築費用などで50~100万円の費用はかかります。大規模なケースであれば、数千万円レベルになることもあります。
第三者保守を利用してサーバーの稼働期間を引き伸ばすことができれば、サーバーリプレースのスパンを長くとることができ、それだけ費用を削減できます。
リプレースまでの延命になる
3つめに挙げられるメリットが、リプレースまでの延命措置になる点です。
サーバーリプレースについて、「行うことは決まっているが、今すぐには難しい」という声も以下のような背景から多く聞かれます。
- スペック決めにもっと時間が欲しい
- 予算を確保できていない
- 通常業務に人員を取られている
- 繁忙期であるためシステム変更による影響が大きい
- 他の機器とリプレース時期をそろえたい
こうした場合にも、第三者保守は有効です。リプレースの準備が整うまでの延命措置として利用できます。
状況に合わせてシステム延命、リプレースの検討を
第三者保守の利用には、次のようなメリットがあるとお伝えしました。
- メーカー保守が切れた機器を継続利用できる
- サーバーリプレースにかかる費用の削減になる
- リプレースまでの延命になる
しかし、第三者保守は、決して万能というわけではありません。次の2つのリスクに関しては十分に対応できるわけではないことに留意しておく必要があります。
- セキュリティ脆弱性のリスク
メーカーのサポートが終了した製品を使い続ける場合は、OSやソフトウェアのアップデートができないため、セキュリティ面のリスクがあります。 - 作業効率低下のリスク
パーツの経年劣化やストレージ容量の圧迫など、サーバーの処理能力低下による業務の遅延、それによって生産性が低下する可能性があります。
また、第三者保守で機器の稼働を延長しても老朽化自体は避けられないため、どこかのタイミングでリプレースが必要となります。
リプレースするか、それとも第三者保守を利用するか。サーバーの使用期間や状態、予算、業務における重要度など、あらゆる要素を加味して総合的に判断することが大切です。
まとめ
サーバーも消耗品です。長年にわたって使用していれば老朽化が進み、故障しやすくなる、セキュリティ性能が低下するなど、何かと不具合が生じるようになります。
メーカーサポートの終了というタイミングでのサーバーのリプレースを考える企業が多いですが、リプレースには時間や費用などのコストがかかることは避けられません。第三者保守という選択肢も活用しながら、臨機応変に対処することをおすすめいたします。
弊社SATでも、第三者保守サービスを提供しており、15年の実績があります。弊社の主な強みは、「保守スキル」「部品調達力」「サポート体制」です。
保守スキル:
保守経験豊富なエンジニアが在籍しており、高品質な保守サービスを提供。また、年間1,700件を超える障害解析を実施し、その解析データをナレッジとして蓄積し、保守に活用
部品調達力:
初期不良発生率の低い国内外30社以上のルートから部品を調達。
サポート体制:
24時間365日体制で、障害コール対応、部品デリバリー、オンサイトでの部品交換作業に迅速に対応可能。※Plan5の場合
SATの第三者保守サービスについて、何か気になる点などがございましたら、弊社担当者までお気軽にお問い合わせください。
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