IT機器や業務システムのメーカー保守には一定の期間が設定されており、保守サポートが切れたまま継続利用することはさまざまなリスクを伴います。メーカー保守が終了した製品の安全性を担保する方法のひとつが、サードパーティによる延命保守です。本記事では、延命保守の概要やメリット、メーカー保守との違いなどについて解説します。
メーカーが製造するIT機器にはサポート期間が設定されており、その期間を過ぎるとアップデートや修理対応、不具合の修正といった各種サポートを受けられません。このようなサポート期間の終了したIT機器に対し、メーカー以外のサードパーティ企業が保守サービスを提供するのが延命保守サービスです。
アップデートの提供やサポートが終了した製品は「EOSL(End Of Service Life)」と呼ばれます。EOSL製品はメーカーのメンテナンスや修理サポートを受けられないため、そのまま使い続けるとIT機器の故障や不具合によって事業活動に支障をきたすリスクがあります。
たとえば、生産管理システムや在庫管理システムなどの基幹系システムもしくは管理用サーバーに障害が発生した場合、メーカーサポート期間ならばメーカーに問い合わせて不具合の修復を依頼しますが、サポート終了後にはそういったサポート対応を受けることができなくなります。サポート対応を受けられないために障害の修復が遅れれば、事業活動の停止を余儀なくされる可能性も否定できません。また、サービス提供をしているサーバーに障害が発生すると顧客の業務にも支障を与えかねず、事業の継続が危ぶまれる可能性もあります。延命保守はメーカー保守が終了したEOSL製品の安全性を担保し、事業継続性の確保に寄与します。
エスエーティ(SAT)が提供する延命保守サービスの大きな特徴は、エンジニアが現地に赴いて修理交換を実施するオンサイト保守サービスという点です。たとえば、電話やEメールで障害発生の連絡を受けると、対象機器の障害状況をエンジニアがお伺いし、お客様からご提供いただいたログなどをもとに障害被疑箇所を特定します。その後、オンサイト作業が必要と判断した場合は作業日の調整や入館手続きなどを行い、エンジニアが現地で復旧作業や修理対応などを実施します。
ここからは、延命保守のメリットについて見ていきましょう。
メーカー保守とは、障害発生時の修理や復旧作業、定期的なメンテナンスといったサポートをIT機器などの販売メーカーが提供するサービスです。先述したように、メーカーが販売するIT機器にはサポート期間が設定されており、その期間は一般的に5〜7年ほどとなっています。
メーカー保守が終了したEOSL製品は販売メーカーからのサポートが受けられず、基本的に各種部品の製造や販売も終了します。そのため、EOSL製品を使用し続ける場合は、延命保守サービスや第三者保守サービスを提供するサードパーティに保守業務をアウトソースするなどメーカー保守に代わるサービス利用を検討する必要があります。
企業が事業活動を継続していくためには、IT機器や業務システムの安定的な稼働が不可欠です。しかし、冒頭で述べたようにメーカー保守の対応期間が終了した製品は修理やメンテナンスなどのサポートを受けられません。
EOSL製品は故障や障害の発生リスクが高まるだけでなく、IT機器の保守に自社のリソースを投入する必要があります。延命保守サービスを利用することで、自社のリソースを割くことなく、メーカー保守の対応期間が終了したIT機器や業務システムのトラブルに対応できます。
メーカー保守が終了したIT機器は、基本的にパーツの取り扱いも終了します。
そのため、延命保守を提供するサービス事業者は国内外のリユース市場からの部品調達を行い、幅広いメーカーの保守に対応できるようにしています。
リユースパーツを利用する場合、調達元によってはパーツ品質が担保できない可能性があり、パーツの品質が担保できなければ保守後の安定稼働にも影響がでるのでは、と不安に思われるかもしれません。SATの延命保守サービスの場合、そうしたパーツ不良の問題が起きないよう、調達元での検品がされたものに関しても入荷後に自社規定項目に沿った社内検品を実施し品質向上に努めています。
延命保守の大きなメリットのひとつが、機器を延命することでシステムの入れ替えにかかるコストを抑えられる点です。
メーカーサポートが終わると障害時のサポートを受けてくれなくなるため、新しいシステムへの移行を検討することになるでしょう。しかし、システムの移行にはハードウェアの購入費から構築費用など初期導入に大きな費用がかかります。延命保守を利用することでシステムを利用する期間を延ばすことができればシステム移行回数を減らすことができ、結果的に移行時にかかる初期導入費の削減につながるでしょう。
メーカー保守が終了した場合、考えられる選択肢はIT機器をリプレイスするか、現状のまま使い続けるかのどちらかとなるでしょう。しかし、IT機器や業務システムのリプレイスには相応の費用と開発期間を要するため、簡単に実行できるものではありません。とはいえ、EOSL製品を何の保障もなく使い続けるのはリスクが大きく、事業継続性の観点から見れば適切とは言い難いといえます。
このような場合におすすめしたいのが、延命保守サービスの利用です。延命保守サービスを活用することで、EOSL製品の安全性を確保しつつ稼働できると同時に、IT機器をリプレイスするまでの繋ぎにもなります。メーカー保守から延命保守へ切り替える場合、具体的な移行プロセスは以下のように展開されます。
メーカー保守から延命保守に移行する際の第一ステップはお問い合わせです。まずはメーカー保守の終了期限が迫っている、あるいはすでに終了してしまったなど、必要なタイミングでお問い合わせを行います。お問い合わせの内容に応じて概算の見積もりを算出するため、対象機器の名称やシリアル番号、台数、設置場所、機器構成などの詳細な情報を用意しておくのが望ましいといえます。
お客様からいただいた情報に基づいて概算の見積もりを算出します。延命保守サービスは年間契約を基本としており、加入の際には正常にシステムが稼働している状態であることが条件となっています。すでに何らかの障害や不具合が発生している場合は、単発のスポット保守の見積もりを算出し、不具合の解消後に期間契約での延命保守サービスのご提案と見積りをいたします。
延命保守の注文後は「保守部材を調達」→「機器登録票の提出」→「保守契約締結」→「保守開始」のステップで進みます。まずは保守部材の調達から開始しますが、在庫がない場合は約一ヶ月半程度の準備期間がかかることもあるので、余裕を持った準備が大切です。その後、契約窓口や障害発生時の担当者窓口、対象機器などを記載した機器登録票を提出します。そして、保守契約締結後に延命保守サービスの開始となります。
延命保守は、メーカーのサポート対応期間が終了したIT機器の保守をサードパーティが代行するサービスです。メーカーが製造するIT機器は5〜7年前後のサポート期間が定められており、その期間を過ぎるとアップデートや修理対応などのサポートをメーカーから受けることができなくなります。メーカーサポートは切れてしまうが、現在利用している機器を利用し続けたい。そのような場合には延命保守の利用が有効です。
株式会社エスエーティ(SAT)が提供する延命保守は保守サービスを提供するのはもちろん、既存システムをアセスメントした上で適切なソリューションの選定も支援します。メーカー保守から延命保守への切り替えを検討しているお客様は、SATの延命保守サービスの活用をご検討ください。