SDGsの目標12は「つくる責任つかう責任」です。本記事では、SDGsへの取り組みを検討している担当者の方に向けて、SDGs12「つくる責任つかう責任」の概要から、必要とされている背景、主な廃棄物とその問題点、企業がSDGsに取り組む意味、SATの取り組みまで紹介しています。
SDGsの目標12として掲げられている「つくる責任つかう責任」は、持続可能な生産および消費構造の確立を求めるものです。むやみやたらな生産・消費活動を続けていれば、いずれ資源が枯渇したり、環境汚染により生物が住めない環境になったりするおそれのあることから、「つくる責任つかう責任」によって、生産者と消費者へ行動を呼びかけようというものです。つくる側である生産者には省資源で高品質なものを得られるような体制の構築が求められ、つかう側の消費者にはリサイクルや廃棄の削減、再利用を意識して行動することなどが求められます。
技術の発達により、作りたいものが大量に作れるようになったことで、膨大な資源が消費され、現代社会では環境破壊が問題となっています。このまま大量生産・大量消費を続けていくと、自然環境が保持できず、やがて資源も枯渇してしまうでしょう。環境破壊や資源の枯渇によって、生態系が乱れ、人類を含めた生物が住めない環境となってしまいます。
このような背景から、生産者は限りある資源を有効に使い、消費者は無駄な消費をしないという「つくる責任つかう責任」に沿った行動することが必要です。「Sustainable Development Report 2022」によると、日本のSDGs達成度は163ヶ国中19位となっています。これは前年よりもひとつ順位を落としている状況であり、「つくる責任つかう責任」に関しても、評価が引き下げられています。
引用元:https://dashboards.sdgindex.org/rankings
主な廃棄物としては、次のようなものが挙げられます。
これらの廃棄物による地球環境の汚染が問題となっています。なぜ問題になっているか、廃棄物の内容や現状も踏まえて確認していきましょう。
農林水産省の発表によると、令和元年度の日本で排出された食品ロス量は年間で570万トンにも上ると報告されています。食品ロスの内訳は、事業系が54%、家庭系が46%となっており、いずれも前年度から減少しています。しかしながら、SDGsで掲げる目標を達成するには、さらに16%(80万トン)の削減が必要です。
引用元:https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/211130.html
水質汚染の主な原因となるのは、産業排水や生活排水、気候変動です。産業排水は工場などから排出される汚水のことで、日本においては厳しい排水基準が定められています。生活排水は家庭から排出される汚水のことで、排泄や炊事、洗濯の際に流されています。
洗剤や食べかす、糸くずなどが自然環境へ排出されることが問題となっており、日本でも重点的に削減に取り組むことが必要です。地球温暖化をはじめとする気候変動によって、水質の悪化などが問題とされており、温室効果ガスの削減にも取り組む必要があります。
エネルギーを消費することによる、二酸化炭素の発生が問題となっています。温室効果ガスである二酸化炭素によって地球温暖化が進むことが懸念されており、二酸化炭素をできるだけ出さないようなエネルギー生産の方法が模索されています。世界の中でも二酸化炭素の排出量が多い日本においては、火力発電に代わるエネルギー生産体制を整えることが必要です。
また、エネルギーを生産するために消費される天然資源には限りがあり、使い続けるとやがて枯渇してしまいます。そうならないようにするためにも、再生可能エネルギーの開発が求められています。
ITにおける産業廃棄物には電気電子機器廃棄物があり、コンピュータや周辺機器などの電子廃棄物の総称としてe-wasteと呼ばれています。日本で発生した、カドミウムや鉛、水銀などの有害物質が含まれたe-wasteは、海外へ輸出されて処分されていますが、輸出先における処分場の環境は劣悪です。
e-wasteには有害物質以外にも、金や銀、白金などのレアアースと呼ばれる貴金属が含まれています。生活のためにレアアースを回収しようと、処分場で働く人は絶えません。回収のために有害物質に触れたり、燃やすことでダイオキシンが発生したりすることから、深刻な健康被害をもたらしています。
国連大学などの調査報告書「The Global E-waste Monitor 2020」によると、e-wasteの排出量は、2019年までの5年間で21%も増加したと報告されています。SDGsのターゲット12.5は「2030年までに、廃棄物の発生予防、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」であり、これを達成するにはe-wasteの削減が重要です。
引用元:https://ewastemonitor.info/gem-2020/
企業が「つくる責任つかう責任」への取り組みを実施することで、持続可能な社会の実現に近づくだけでなく、企業にとってもさまざまなメリットがあります。社会的な責任として、企業はつくる責任に取り組むことが重要視されているため、その責任を果たすことで企業のイメージアップとなり、投資を呼び込んだり、優秀な人材を採用したりすることが可能です。
また、SDGsは世界規模の大きな目標であり、これまでになかった需要が喚起されているため、目標達成に向けた技術や製品の開発、提供により、ビジネスのチャンスが広がります。SDGsへの取り組みが重視されていることから、つくる責任への取り組み状況が取引条件になることも考えられるため、積極的に実施することはとても重要です。
具体的な取り組みとしては、たとえば生産から供給までのサプライチェーンにおいて、ムリ・ムダ・ムラをなくすことで、社会的責任が果たせ、生産性の向上も見込めます。企業が出す産業廃棄物によって、埋立地の不足や環境汚染が引き起こされており、これらを燃やす際に生じる温室効果ガスである二酸化炭素が、地球温暖化につながるとして問題視されています。産業廃棄物の排出をできるだけ少なくするために、企業が3R(リサイクル・リユース・リデュース)の取り組みを積極的に行うことが重要です。
SATにおいてもSDGsにつながる取り組みを行っています。必ずしも既存の機器を使い続けることが最適であるとはいえないものの、SATでは第三者保守体制の整備やデータ消去サービスの実施によって、資源を有効活用する取り組みを実施しています。
第三者保守は、メーカーのサポート対応期間が終了したサーバーやストレージ、ネットワーク機器といったIT機器の保守を、サードパーティー企業が代行するサービスです。これらのハードウェアを買い替えるには大きな費用がかかり、システム移行の手間もかかります。
第三者保守によってハードウェア製品の稼働期間を延ばすことで、これらの初期費用や移行の手間を削減することが可能です。機器が古く最新モデルに刷新したくても、費用が高くて買い替えられないという企業は多いでしょう。サポート期間を過ぎた古いモデルを使い続け、故障などのトラブルが起こった際に、重要なデータが消えたり、システムが稼働できなくなったりした場合には修理などのサポートを受けられず、事業継続が困難な状況に陥るおそれもあります。
第三者保守を利用すると、サポート期間が過ぎている機器においても、修理や交換、リプレイスといった対応が受けられるため、安心して事業を継続することが可能です。SATの第三者保守を利用することによって、サポート期間終了後のハードウェアであっても、部品調達力や新旧ハードウェアの豊富な知識により、延命措置や適切なタイミングでのリプレイスサービスなどが受けられます。
そして、第三者保守により廃棄ではなく延命という選択を行うことで、産業廃棄物の排出量が少なくなるため、SDGsへの取り組みにもつながります。
また、第三者保守では一般的に国内外の中古パーツ市場から集めたリユース部品を保守部品として利用しています。SATではこうしたリユース部品に対して独自の検品体制を確立して、リユース部品であっても安全に利用できる高品質な部品の確保に取り組んでいます。利用できる資源を最大限に活かして廃棄物の削減に貢献しながらも、機器の継続運用に必要な高品質な保守をご提供できるように体制を整えています。
SATではデータ消去サービスも提供しています。サーバーやストレージ機器を廃棄・リプレイスする際には、情報漏洩を防ぐためにデータを消去することが必要です。SATのデータ消去サービスなら、エンジニアが直接現地に向かい、オンサイトでのデータ消去を行うので、重要なデータの入ったIT機器を社外へ持ち出すことなくデータの消去ができます。このデータ消去サービスを利用することで、廃棄やリース返却による情報漏洩を防ぐことが可能です。
SATが提供する上書き消去では、 専用ソフトにより無意味なデータをメディアへ上書きすることで消去を行い、メディアを再利用できる状態でお客様の元へ返却することが可能です。産業廃棄物の削減につながるため、SDGsの達成にもつながります。
SDGsの目標12で掲げている「つくる責任つかう責任」は、持続可能な生産と消費の構造を作り上げることを目的としています。その背景には、大量生産および消費活動によって、地球環境の汚染や資源の枯渇を招き、生物や人類の生存が危ぶまれていることがあります。
日本においては食品ロスや生活排水、e-wasteの削減、再生エネルギーの開発が必要です。世界的にSDGsの取り組みが活発になっており、今後SDGsへの取り組みを取引条件に加える企業も増えることが予想されます。
SATの「つくる責任つかう責任」への取り組みとしては、第三者保守によるIT機器の延命、が挙げられます。IT機器の延命やリユース部品の利用によって、廃棄されるはずだった機器を使い続けられるようになり、e-wasteの廃棄量削減に貢献しています。